オリッシーの衣装

ODISSI DANCEの衣装について素材やデザインをご紹介していきます。

古い文献によると現在のコスチュームデザインは、”マハーバーラタ”に出てくるアルジュナが着ていた服のデザインをもとに(アルジュナである事を悟られないように女装をしてキングの娘に踊りや歌を教えていた時に着ていたような服装)、マハリとゴティプアが使っていたサリーの巻き方や装飾品等を取り入れているそうです。以前は素材も特別なシルクでブライトカラー(赤と緑)等の決まりがあったという記述があります。

ODISSIは寺院で神に踊りや歌を奉納していたマハリという女性達の歴史とゴティプアという女装して着飾った少年達の歴史(彼らの存在によってはじめて舞が一般大衆に知られるようになりました。)を経て一旦踊りの歴史は衰退しますが1950年代に入り現在の偉大なグル(幼少時代ゴティプアダンサーだったグル。だからOdissiの偉大なるグルは皆男性なのですね。)や研究者の働きにより文献や彫刻等から再構築され更なる発展を遂げ近年舞台芸術として踊りが完成しました。そして私達もインド古典舞踊に欠かせない有名な演劇書「ナーティヤ・シャストラ」や「アビナヤ・ダルパナ」ODISSIのテキスト「アビナヤ・チャンドリカ」等の文献から沢山の事を学べます。

その文献の中に舞踊・演劇に欠く事の出来ない理論”四種類のアビナヤ”があります。

  • アーンギカ(身体によるもの)
  • ヴァーチカ(声によるもの)
  • アーハリヤ(装飾~化粧、衣装などによるもの)
  • サートヴィカ(表現等によるもの、心理的表現)

の中にある3番目のアーハリヤ。衣装や化粧、装飾等によって表現する方法。衣装は見た目の美しさだけでなく、演じる役柄によって身につける装飾、衣装が違がったり、メイクやカツラを使う事で出てきただけで観客が誰を演じていいるのかすぐわかるビジュアルアートの役目にもなるのです。そしてまたインドでは芸能は人が神々や英雄たちと交わるためのものと考えられていたため踊り手の入念な化粧と手の込んだ装身具は神を迎える準備として自らが非日常な存在へと姿を変えて行く過程で必要不可欠な要素になっています。

現在日本において踊りの舞台鑑賞はもちろん踊り手の技量や表現力、舞台構成・内容・テーマ性などがとても大切ですが場の持つ雰囲気や(お寺や野外、会場の大きさでも違う)照明や音響等の空間演出も舞台をより一層効果的に見せる方法です。そして同じく踊り手が身につける衣装や装飾品等もまた舞台に彩りや華やかさを添える必要不可欠なものなのです。上記四種類のアビナヤのように衣装には役柄によって決まった衣装の色があったり、出て来ただけで誰を演じているかわかるそんな事を考えながら見るのも楽しくありませんか?

例えば、ダンスドラマの場合、黄色の衣をまとったクリシュナ神がゴーピーと楽しく戯れている様子(クリシュナ神は黄色い衣をまとい空のように青い肌をしていると叙事詩ギータ・ゴーヴェンダの中で歌われています。)黄色い衣装に孔雀の羽がついた冠、横笛を吹く登場人物が出てきたらそれはクリシュナ神と一目でわかりますね。

Odishaのサリーについて

オディッシャは、緯絣(イカット)サリーが有名です。ヌパトナ村のタッサーシルク(野蚕)やサンバルプール生産のサンバルプルサリー等ユニークなイカット柄が沢山あります。典型的なイカット柄には魚や花等具象デザインが多く、風景や神像、サンスクリットのスローカ等を絣織りした儀式用プジャサリーはオディッシャにしかないようです。

衣装は自分の好きな色の絣シルクサリーを購入して衣装専門テーラーで作ります。素材は、高級なシルクサリーよりも扱いやすく値段も安い光沢の美しいチャイナシルクや光沢のあるテロテロ素材の生地からも作りします。その場合ブラウスの袖とボトムフロント斜めラインと腰当てにサリーのようなボーダーをつけてもらい、ボーダーとボディ布の境目にテンプルデザイン(テンプルの塔を表す三角の形)をしてもらいます。ほかにはコットンサリーで作った衣装は軽くて色目もとても可愛いのですがライトが当たった時にシルクような煌びやかな光沢はでないので野外以外ではあまり使えません。

Gotipuaの衣装 PATTA SARI(ノーステェッチングの意味)は、ブラウスとブラウスの上にドゥパータ(胸当て大判のスカーフのようなもの)を巻き、ボトムはサリー1枚でズボンを作るドーティータイプ。サリーもそうだけど布を巻くだけでパンツになるなんてインド人は賢いですね。

<ボトムのデザイン>
オリッシーの昔の衣装はマハリもゴティプアも実際サリーを巻きつけて下のボトム(ズボン)になる部分を作っていました。ドーティー、インドの男の人や僧が布を巻きつけているのを見かけたことありませんか?そのような巻き方です。現在はサリーを衣装用に縫製するのでテーラーによってその時代の流行やダンサーの好みによって少しづつデザインが異なります。

代表的な衣装の形・種類にはボトム正面にくるデザインが斜め型(マハリスタイル)と扇型・ファンタイプ(ゴティプアスタイル)の2種類あります。サリーから衣装を作る時パッル(サリーを着た時に肩から下がる部分の織りエンドピース)をボトム正面に使うのでどちらのデザインもとても豪華で華やかなものになります。

現在変わったところでは、白いサリーで作ったブラウスとボトムの上に綺麗な色のジョーゼット生地でドゥパータやボトムの斜め型デザインを作る学校もあります。

グルによって同じアイテムでも少しづつテクニックや振り付けに違いがみられますが特に現在オリッシーの代表的なチョーカとトゥリバンギといったポジションによる振り付けに変化がみられるように思います。以前はチョーカポジションも足の幅がかなり広かったのですが現在は以前より幅が狭くなり(ファンタイプはこのチョーカポジションが美しく見えるデザイン)現在の振り付けのほとんどが彫刻のような美しいラインを描くトゥリバンギポジションによるバンガ(胴の曲げ)の振り付けが多くなったように思われます。斜め型デザインはそのバンガをより美しくみせるデザインになっています。

サリーはメインのボディーの色と端のボーダー部分のコンビネーションによって印象がかなり違います。衣装を作る時はボディーとボーダーのコントラストがハッキリしている方が良いといわれます。演目のイメージや演じるキャラクターに合わせて衣装選びしても面白いですね。もちろん自分に似合う色や好きな配色を探してみるのもいいですがサリーの場合今までチャレンジしたことのないカラーでも意外と似合うので是非新しい色を試してみては如何でしょうか?これは衣装に限らずサリーやパンジャビ選びにも同じ事が言えますので自分に似合う色を探して楽しみたいですね!!

 

Photo credit Mr.Debiprasad Sahoo