オリッシーの理論

オリッシーの代表的な基本ポジション

代表的な基本姿勢はチョ-カとトゥリバンガがあります。踊りのほとんどがこのポーズの組み合わせによるものです。

☆チョ-カは、四角いポーズでオリッシーの神様ジャガンナータ神を表しています。

☆トゥリバンガは、三つの曲げ〈首・胴・脚の曲げ〉のことをいい、クリシュナ神を表すポーズといわれています。

☆ダンスの形態は、二千年以上前(2世紀頃~5世紀)に書かれた舞踊と演劇の理論書”ナーティヤ・シャストラ”と5世紀に書かれた演劇書”アビナヤ・ダルパナ”12世紀(のち17世紀に作リ直されたいう)ODISSIのテキスト”アビナヤ・チャンドリカ”などの理論書をもとにつくられました。古典舞踊と民族舞踊の違いは、古典舞踊は上記の書をもとにすべてに決まり事があり、踊り手は四つのアビナヤや理論に基づいたテクニックを全てマスターし、その上これらを総合した自己表現を作り上げなければなりません。そのために長期にわたる厳しいトレーニングが必要不可欠なのです。民族舞踊は、人に見せる目的ではなく自分達が楽しむためのものとされています。

演目について

オリッシーのレパートリーは、5つのパートにわかれます。この演目の中から5、6曲をソロで行うことが基本とされています。曲目を簡単に解説していきます。

1.Mangala Charan~マンガラ・チャラン~

オリッシーの伝統的な始まりの曲。この曲は4部構成になっており、始めに舞台の無事と成功を祈ってジャガンナータ神に花を捧げ母なる大地に敬意を払い舞うことの許しを得ます。そして神を称える歌へと続き、最後に神・グル(師匠)・観客に挨拶をして終わります。神を称える歌のパートには、ガネーシャ神・シヴァ神・ヴィシュヌ神・ジャガンナータ神サラスワティー女神・ドゥルガー女神などの演目があります。

<四部構成の名称>

*Mancha Prabesha~ステージに上がる~
*Bhumi Pranam~大地の母、神に祈りを捧げる~
*Guru Bandana~神を称えるスローカ~
*Sabha Pranam~最後の挨拶の踊り
*Saba Pranam(long)
Padam Sri Guru Pankaj Charan Das

*Saba Pranam(short)
Padma Bibhusam Guru Kelucharan Mohapatra

2.Batu Nrutya~バトゥ・ヌリッティヤ~

シヴァ神に捧げる曲。この曲はストーリー性はありませんが、インドの楽器ヴィーナ、フルート、両面太鼓、小さなシンバルマンジーラを演奏する動作から始まり、身体の四肢だけを使うオリッシー特有の基本姿勢バンガとあらゆるポーズとで繰り広げられる”ヌリッタ”といわれる純粋な踊りです。オリッシーダンスはオリッサ州コナーラクにあるスーリヤ寺院に施されたダンサーやミュージシャンの彫刻がまるで動き出したかのように躍動的で優美な踊りであることから”動く彫刻”といわれています。この曲は、オリッシーダンスをとてもよく表した演目といえます。
Padma Bibhusam Guru Kelucharan Mohapatra

*Sthai ~スタイ~
この曲もバトゥと同じく体の四肢だけを使いオリッシー特有の基本姿勢やあらゆるポーズが繰り広げられる純粋な踊りです。スタイには、「基本」とか「基礎」といった意味があり、マハリが神に舞を捧げるため、着飾っていく様子に始まり、音楽に合わせてインドの楽器ヴィーナ、フルート、小さなシンバルマンジーラ、両面太鼓を演奏する動作が繰り広げられます。
Padam Sri Guru Pankaj Charan Das

3. Pallvi~パッラビィ~

パッラビィとはRAGAと呼ばれるメロディーとTALAと呼ばれるリズムとがつた草のように複雑に絡み合った曲のことをいいます。オリッシーの特徴である身体の四肢の動きによって表現した優雅でリリカルな演目です。インドの旋律であるRAGAによって様々な演目のバージョンがあります。

4.Abhinaya~アビナヤ~

インド古典舞踊には”ヌリッタ”純粋にステップをみせる踊りと”ヌリッティヤ”歌や詩に合わせて踊る舞踊劇やストーリー性のある表現の踊りがあります。”アビナヤ”とは、物語や叙事詩を身振りや”ムドラ―orハスタ”と呼ばれ、手振りや目の動き、顔の表情等で表した表現法のことをいいます。オリッシーの代表的なアビナヤの演目は、マハリがジャガンナータ神に朝・夕の舞の奉納で演じたクリシュナとラーダ―の愛を綴った叙事詩、十二世紀の詩人ジャヤ・デーヴァの”ギータ・ゴーヴィンダ”からの演目を現在も演じることが多く、他にオディッシャ州の言語オリヤー語で歌われた演目や”マハバラータ”、”ラーマ・ヤーナ”などの舞踊劇も演じられます。

5.Moksha Nata~モークシャ~

オリッシーの舞台で最後に踊られる曲。神に対する感謝の気持ちと喜びを全身全霊で捧げ、そして人間の最終目標である解脱、解放を意味し神と人とが一体になるよう祈る踊りです。
Padma Bibhusam Guru Kelucharan Mohapatra

*NRITTA* Pure dance 純粋にステップをみせる踊りの種類。(Batu,Moksha)

*NRITYA* ジェスチャーなどにより表現する踊りの種類。

*NATAYA* 舞踊劇やストーリーの感情を四つのアビナヤを使って表現する踊りの種類。

「四種類のアビナヤ」

1.)アーンギカ(身体によるもの)
2.)ヴァーチカ(声によるもの)
3.)アーハリヤ(装飾~化粧、衣装などによるもの)
4.)サートヴィカ(表現などによるもの、心理的表現)

 

Photo credit Mr.Debiprasad Sahoo